甲状腺肥大の症状と治療
甲状腺は肥大しやすい臓器で、こんなことが関係して大きくなることがあります。
- 食べ物の中のヨードと言う栄養素の摂取量
- 甲状腺の異常
海に囲まれて海藻などを日常的に食べる日本では、食事の内容からヨードが不足して甲状腺肥大を起こすということはあまりありません。
ですが、ヨードの摂取量がとても少ない国や地域の人には、かなりの割合で甲状腺肥大があるといわれています。
これは、甲状腺のホルモンがヨードを原料として作られるためです。
ヨードが少ない⇒甲状腺ホルモンを十分に作ることができない⇒脳が甲状腺に刺激を与えてもっとホルモンを出しなさいと命令する⇒肥大する
こんな経路を辿ります。
では日本で生活する人に甲状腺肥大が起こる原因はなにか?
それはヨード不足ではなく甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などが関係することが多いです。
その2つの代表的なものは橋本病とバセドウ病です。
甲状腺の肥大は小さいものはなかなか気づくことができません。
ですが、
- ふと自分で首を触ってふくらみが気になった
- 誰かに「甲状腺が大きくない?」と指摘された
こんな時は、すぐに診察を受けましょう。
できれば甲状腺専門医の診察を受けるほうがいいです。
普通の病院でも、甲状腺の専門医がいることもありますよ。
甲状腺肥大の診察と検査
診察はまず甲状腺を触ってどんな風に肥大しているのか調べます。
専門医だと、この時点である程度問題を予測できることが多いです。
そして、ただ大きくなっているのか?、病気が隠れているのかを知るために、甲状腺ホルモンの値を調べるため血液検査が行われます。
その他にもレントゲンやエコー(超音波)、CTやMRIなどが行われるときがあります。
肥大の検査をしたあとはどうなる?
肥大の原因がわかったら、それぞれの治療が始まります。
検査の結果バセドウ病だったら
検査の結果、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症が見つかった場合には、主に以下の3つから治療法をら症状にあわせて選びます。
- 抗甲状腺薬の服用
- 放射線を帯びたカプセルを使うアイソトープ
- 手術による甲状腺の一部または全部の摘出
自分と医師との相談によって決められますが、よほど肥大が大きい時を除いて、日本では抗甲状腺薬による薬物療法が第一選択になることが多いです。
薬が合わないときや、あまりにも肥大が大きく日常生活に問題が起こるときは、アイソトープや手術が選択されます。
検査の結果橋本病(慢性甲状腺炎)だったら
橋本病などの甲状腺機能低下症が見つかった場合には、不足している甲状腺ホルモン剤を服用するのが主な治療法です。
ですが、肥大があまりにも大きく呼吸するのが苦しかったり、食べ物を飲み込むのが難しいほどの肥大では、手術が行われることもあります。
どんな病気か?ということが知りたい方は、このサイトの橋本病について書かれているページを読んでみてくださいね。
甲状腺の異常が見つからないとき
甲状腺ホルモンの数値が正常で肥大が良性の場合は、特に治療が行われません。
甲状腺は体の成長に伴い自然に大きくなることもあり、女性では胸が大きくなる頃甲状腺も大きくなるので、それにより気になることもあります。
定期的な検査や診察もほとんど必要ないと言われると思います。
ただ、あまりにも大きく日常生活に影響があるときも手術することもあります。
良性の腫瘍だった場合
甲状腺肥大の原因が良性の腫瘍だった場合は、薬を使ったり手術することもありますが、すぐに治療が始まることはほとんどありません。
ホルモン数値や急に大きくなったりしないかなど、経過観察しながら様子をみることがが多いです。
甲状腺がんだった場合
肥大が悪性腫瘍(甲状腺癌)だった場合は甲状腺の切除手術が行われます。
ガンと聞くと驚いてしまいますが、甲状腺癌女性の400人に1人の割合で見つかるものです。
甲状腺がんは非常に進行がゆっくりで、見つかって手術で切除できれば予後も良好な場合が多いです。