橋本病は合併症を起こしやすい病気
橋本病は、自己免疫疾患であり、体の中にできた自己抗体が甲状腺の中に入り込み、徐々に壊して炎症を起こす病気です。
ですから、甲状腺にだけ問題が起こるような気がしますが、実は他の合併症を起こしやすい病気と言われています。
また、反対のこともあり、下記にご紹介する病気を持っていると、橋本病になる可能性が高くなる、とも言われます。
橋本病の患者さんに多い合併症は、悪性リンパ腫、慢性関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病、糖尿病、悪性貧血などです。
橋本病の人に多い合併症
慢性関節リウマチ
慢性関節リウマチは、自分の免疫が関節を中心とした体の組織を攻撃して、炎症を起こし、壊されていく病気です。
橋本病と同じく女性に特に多い病気で、発症年齢も30〜40歳の多いと似ています。
初期は、食欲がない、熱っぽさやだるさの症状が出るので、「風邪かな」と思う人が多いです。
風邪と見分けるポイントは、朝起きた時に手や体にこわばった感じがあるかどうかです。
もしもこわばりの症状がある場合は、念のためすぐに診察を受けてください。
慢性関節リウマチの治療は、関節の痛みや炎症を抑える薬物療法です。
残念ながら完治させる治療はまだないのですが、早い段階で治療をはじめると、悪化を緩やかに出来るようになり、周りの人と同じ日常生活を送る人も多いです。
ゆっくりと進行していきます。
シェーグレン症候群
免疫にできた自己抗体が、全身の分泌線を攻撃して侵されてしまう病気です。
そのため、目や口、鼻の中など、全身のありとあらゆる部分が乾燥します。
初めは、特出した症状が乾燥しかないため、なかなか気づきにくく、この病気の人も普通に生活していることが多いです。
関節リウマチになった人の約2割がこの病気になります。
進行すると、肌荒れ、関節の痛み、神経症状なども起こります。
根本的な治療はまだないため、それぞれの症状に対する対症療法が主なものです。
口の中の唾液が少なくなるため、虫歯になりやすく糖類を含む食べものは注意が必要になります。
悪性リンパ腫
白血球の中にあるリンパ球に出来る腫瘍(がん)です。
橋本病の患者の数パーセントの確率で発症します。
橋本病の人は通常少しずつ甲状腺が小さく硬くなっていくと言われていますが、悪性リンパ腫を発症した場合、甲状腺が急に腫れててきます。
このような症状が起きたときは、定期検診の日じゃなくても早急に主治医の診察を受けてましょう。
糖尿病
橋本病になりインスリンの分泌が減ることで起こります。
インスリンが足りないので、、ブドウ糖をエネルギーとして体の中に上手く取り込めなくなり、血糖値が高くなります。
治療はインスリンの注射と食事療法です。
悪性貧血
甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、ビタミンB12の吸収が妨げられることが原因です。
ビタミンB12は赤血球を作る材料となるため、それが足りなくで貧血になるのです。
治療はビタミンB12を注射で補います。
いずれの場合も、定期的な診察と検査を受けていれば、早期に発見できます。
橋本病そのものも定期的に診ていくことで、悪化する前になんらかの対処をとることが出来ますので、忘れずに病院でも検査を受けてくださいね。
橋本病や合併症を悪化させないために
甲状腺の疾患は、様々な環境の変化、精神の変化で変わる病気でもあるので、治療をしていても体調が不安定になることも多いです。
そして、たとえ症状が落ち着いていても、合併症のリスクがあるということは、頭に置いておいたほうが良さそうです。
いつもと違う違和感を甲状腺に感じたり、急に体調に変化があったり、なにかしらいつもと違う様子を感じたら、放置せず病院を受診することをオススメします。
特に経過観察のみの方は、調子がいいとついつい病院へ行くのを忘れたりしてしまうこともあるかと思います。
一番怖いのは何もせずに放置することですから、自分の現在の体の状態を知る上でも、定期的な検査は必須です。
また、橋本病もそれに伴う合併症も、元をたどれば免疫の異常です。
これ以上悪化させないためには、病院での治療も大切ですが、これ以上免疫を狂わせない心がけも大切だと思います。