甲状腺の腫れと痛みは何が原因で起こる?
甲状腺の病気は、橋本病やバセドウ病などで腫れることはあっても、普通は痛みを感じることはありません。
もしも甲状腺が腫れていて、痛みもあるようなら他の病気の可能性が高いです。
甲状腺に腫れや痛みが出る原因は、主に以下の2つの原因があります。
- 亜急性甲状腺炎
- 急性化膿性甲状腺炎
初めは普通の風邪と見分けるのが難しいと思います。
喉の風邪かな?と思う人が多いでしょう。
熱も出てきますので、いよいよ風邪かと思うかもしれません。
治療しないで治るものもありますが、しっかり治療しないと繰り返すこともありますので、それぞれの特徴を読んで判断してくださいね。
亜急性甲状腺炎とは
亜急性甲状腺炎は、ウイルスに感染することで甲状腺が壊されて、貯蔵されていた甲状腺ホルモンが漏れ出し、血液の中の甲状腺ホルモンが異常に多くなってしまっている状態です。
亜急性甲状腺炎の原因と症状
一時的にバセドウ病のような状態になるので、この病気と似ている症状がでます(動悸や息切れ、汗をかく、全身がだるいなど)
また、風邪のような症状や発熱を伴なったり、甲状腺の腫れがそれほど大きくないため、通常の内科を受診すると見落とされてしまうことも。
特徴的な症状は、甲状腺の腫れが硬く、左右どちらかが腫れてことが多いです。
そしてこの腫れは左右に動きます。
例)亜急性甲状腺炎になった時に左が腫れたらその後右が腫れる
また、激しい痛みを伴います。
そのほかには、体重が減ったり、口の渇きや首の後ろの痛みを伴うことがあります。
原因はウイルス感染というところまではわかっているのですが、具体的にはっきりとどのウイルスなどはわかっていません。
女性の方が圧倒的に亜急性甲状腺炎になりやすく、30〜40代の人に多く、子供はあまりなりません。
もしも「喉ではなく甲状腺が痛くて腫れているのかも?」と感じたら、必ず甲状腺の専門医を受診しましょう。
亜急性甲状腺炎の検査と治療
亜急性甲状腺炎は、特に治療しなくても数ヶ月で良くなることがほとんどですが、かなり痛みが強いと放置できないと思います。
また、別の病気の可能性も少なからずありますし、自分で判断はできないので、やはり甲状腺専門医の検査と診断がベストです。
普通の内科だと風邪と言われることもありますが、甲状腺専門医であれば「甲状腺はどうかな?」という視点で診察してくれますし、触診もなれていますから、その他の検査もスムーズです。
診断の決定は血液検査が行われます。
バセドウ病と同じように、血中の甲状腺ホルモンの数値が高く、甲状腺刺激ホルモンの数値が低ければ確定されます。
痛みや腫れが軽い時は消炎鎮痛剤、痛みがひどければステロイドで治療します。
薬は医師の指示に従い、良くなったと思っても勝手に中止しないでくださいね。
急にやめるとぶり返す可能性がありますよ。
また、痛みが強いときは無理をせず休むようにして、安静を心がけてくださいね。
急性化膿性甲状腺炎とは
急性化膿性甲状腺炎は、細菌に感染して甲状腺が化膿してしまう病気です。
大人もなりますが12歳以下の子供に多い病気です。
急性化膿性甲状腺炎の原因と症状
急性化膿性甲状腺炎は、食道の入口に生まれつき穴が空いていて甲状腺とつながる細い管がある人がなります。
この穴から細菌が入り込んで、甲状腺に炎症を起こして化膿してしまうのが原因です。
初めは普通の風邪のように始まり、高熱が出て、やがて甲状腺が腫れて痛みが出てきます(9割は左側が腫れます)
腫れの部分に膿がたまって、首の外側から破けて出てくることもあります。
急性化膿性甲状腺炎の治療
腫れや痛みが軽い時は、抗生物質による治療が行われます。
膿が溜まってしまった場合は、切開して出します。
食道の入口の穴があるままだと、急性化膿性甲状腺炎を繰り返すので、甲状腺に繋がる管を摘出したり穴をふさぐ治療をします。
いずれも、甲状腺専門医の診察と治療が必要です。