甲状腺機能低下症とは?
甲状腺機能低下症とは、その名の通り甲状腺の働きが低下してしまう病気のことです。
甲状腺のホルモンの生産が悪くなり、ホルモンの出が悪くなることで機能が低下し、体の様々なところに症状が現れます。
イメージとしては、体がどんどん老いていく感じになるということでしょうか。
ただ、ある日突然と言うわけではなく、徐々に症状が出るので、年齢を重ねていくとこんなもんかと思ってしまう人も多いのです。
人は誰でも年齢を重ねれば、体力は低下しますし疲れやすくなりますよね。
たとえ病気を持っていない人でも、自分の体の老いを感じることは珍しくないことです。
甲状腺機能低下症の場合は、老いではなく甲状腺ホルモンの分泌が悪くなることで、このような状態が作られてしまいます。
とても小さい臓器ですが、ここから出るホルモンは本当に体の隅々まで影響を及ぼします。
甲状腺機能低下症は、通常の健康診断などでは検査することがないので、残念ながら見つけられません。
どこかに明らかな症状が出たり、のどが腫れているのを、たまたま風邪で診察を受けたお医者様に指摘されて、検査を受けてみたら発見・・・なんてこともあります。
そして、低下した原因にもよりますが、治るまでには時間がとてもかかったり、一生涯つきあっていくこともあります。
ですが、上手く付き合っていくことができる病気なので怖がらなくても大丈夫ですよ。
甲状腺ホルモンのコントロールができれば健康な人と変わりない毎日を送ることができます。
甲状腺ホルモンはホルモン剤を飲んで足りなくなった分を補うことで調節できるようになります。
自分に必要な量のホルモンが分かるまでには、少々時間がかかることもありますが、主治医と相談して、数値を考慮して徐々に量が決まってきます。
甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症になる原因は、いろいろなものがあります。
・自己免疫疾患で、自分の免疫が甲状腺を攻撃して炎症を起こしてしまう
・甲状腺そのものに問題がある
・甲状腺の位置と役割で書いた視床下部⇒下垂体⇒甲状腺の命令系統に異常がある場合
・バセドウ病の薬が効きすぎて機能が低下するもの
・細菌感染によるもの
・先天性のもの
・原因不明
原因別甲状腺機能低下症の種類
自己免疫疾患で、自分の免疫が甲状腺を攻撃して炎症を起こしてしまう
橋本病の原因になるものです。
本来自分の体を守るべき免疫機能が、なぜか甲状腺を攻撃して炎症を起こし、ホルモンの分泌が悪くなります。
甲状腺そのものに問題がある
その名のとおり、甲状腺そのものが病気になって低下症になるものです。
甲状腺の位置と役割で書いた視床下部⇒下垂体⇒甲状腺の命令系統に異常がある場合
甲状腺の位置と役割の図にあるように、甲状腺ホルモンは脳から指令が来て、作られるようようになっています。
この指令系統に問題が起こって低下症になります。
バセドウ病の薬が効きすぎて機能が低下するもの
バセドウ病は、「甲状腺機の亢進症」の一つで、低下症とは反対の状態です。
そのため甲状腺ホルモンを抑える薬を飲んで治療しますが、その薬が効きすぎると低下症を起こします。
でも薬の調整をすれば回復できます。
細菌感染によるもの
体のどこかからか細菌が入って、甲状腺が炎症を起こしたり化膿することで起こります。
痛みや熱が出るのが特徴です。
抗生物質で治療します。
先天性のもの
先天性の甲状腺機能低下症は、クレチン症と言って、生まれつき甲状腺が小さくホルモンが作られにくい病気です。
4000人に一人の割合で起こりますが、日本では新生児の段階で見つかるので、治療がお来れて成長に影響が出ることはありません。
原因不明
原因がわからないウイルスに感染して、甲状腺が炎症を起こします。
熱が出たり首周りに痛みが出たり、風邪をひいた時の症状に似ています。
貯蔵されていた甲状腺ホルモンがドット流れ出してしまうため、一時的にバセドウ病の症状が出ますが、自然に治ります。
甲状腺機能低下症といっても、色々な原因があるんですね。
甲状腺機能低下症の検査と診断
甲状腺機能低下症の診断は、問診と触診でまず行われます。
甲状腺の病気を専門に診ている医師なら、触っただけでどんな病気が隠れているかなど、気づくことが多いです。
機能低下の中でも、橋本病があると甲状腺の表面に凹凸があります。
問診では、体の状態や抱えている症状、具合が悪いと気づいた時期、体重の増減などを聞かれます。
病院へ行く前に、これらをまとめておくとスムーズに問診が進みますね。
その他には、
- 血液検査
- 自己抗体検査
- 超音波検査
などで検査を行い、甲状腺機能低下症の診断を下します。
超音波で腫瘍が見つかった時は、更に細胞診で検査が行われますよ。