甲状腺の病気橋本病
甲状腺の病気には、
- 働きが悪くなる甲状腺機能低下症、
- 甲状腺の機能が働きすぎになってしまう甲状腺機能亢進症
おもにこの2つがあります。
そして、この甲状腺機能低下症の中で最も多いのが橋本病です。慢性甲状腺炎とも呼ばれることがあります。
橋本病は日本名ではなく、1912年橋本策と言うお医者様が発表したのでこの名前がつきました。
橋本病は自己免疫疾患の中の1つで、自分の中の免疫機能が甲状腺を敵だと思い込み、攻撃して破壊してしまうことで起こります。
破壊された甲状腺は、働きが悪くなってしまい、人が普通の生活を送る上でとても大切な、甲状腺ホルモンを作れなくなってしまうのです。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝や成長を促すホルモンなので、これが不足すると単純に新陳代謝が悪くなり健康な状態ではなくなります。
また男の人より女の人の方が橋本病を発症する人が20倍多く、ホルモンのバランスが大きく変わる、妊娠や出産を機に発症する人も多いです。
少し前まで40歳以上の女性に多い病気と言われていましたが、若い女性の患者さんも今は多くいます。
これは増えたというより、病気が見つかりやすくなったためでしょう。
橋本病の患者数は、甲状腺機能亢進症と並んでかなり多い病気のわりに、どんな病気かは知らない人が多いです。
また橋本病は日本人にとても多いのですが、それでも名前はなんとなく聞いたことがあるけど・・・って感じなんですね。
橋本病で不安になったら
今これを読んでいるあなたは、橋本病と診断されたばかりで、一体これからどうなるんだろうと不安になっているかもしれませんね。
自分だけじゃなく、周りもあまり知らない病気なんて不安ですよね。
特に社会人の人なら、仕事のことも気になると思います。
でも治療の基本は、作れなくなってしまった甲状腺ホルモンを飲んで補うことだけです。
腰痛持ちの人がコルセットを身につけているのと同じように、目が悪い人がメガネをかけるのと同じように、飲んで足りないものを補ってあげるもの、と考えてみてください。
病気というよりは、体質と言ったほうがぴったりくるかもしれません。
乾燥肌がひどい人は、皮脂が足りない分こまめにクリームを塗って補ってあげますよね?
そのように自分に足りないものを補うのが治療です(ホルモン剤は1日1回服用です)
ただし、橋本病と言われても「何も症状が出ていない」人は、特に治療はしないこともあります。
これは、甲状腺ホルモンが不足して初めて色々な症状が体に出るからです。
この場合は、半年から1年に一度の血液検査を受けつつ、定期的に経過観察をして行くことになります。
でももしも経過観察中に気になる症状が出てきたり(橋本病の症状参照)甲状腺の腫れが前より大きくなった時などは、次の検査や診察まで待たずに、受診してくださいね。
橋本病の症状が重い人は、甲状腺ホルモンの数値が落ち着くまで初めはしんどいです。
自分に合った微妙な量の調節ができるまでには時間がかかることもありますが、数値が正常になれば症状はなくなっていきますので、安心してください。
詳しい治療法はこちらをどうぞ⇒橋本病の治療法