甲状腺機能低下症は不妊の原因になるのか?
甲状腺機能低下症を代表する病気に橋本病がありますが、女性の患者さんが多く、
その中にはこれから妊娠を希望する人もたくさんいます。甲状腺機能低下や
橋本病があると、不妊の原因になるのか、書いていきたいと思います。
まず、橋本病の女性でも、甲状腺機能低下が無い人は、妊娠に関して病気が
影響することはほとんどありません。チラージンを飲んでいなくても、
定期的に経過観察をして、血液検査の数値が安定しているならば大丈夫です。
ただ、橋 本病と診断され、経過観察中だけれども万が一何らかの症状が
現れていたり、かなり長い間血液検査を受けておらず、放置していた場合は、
一度甲状腺 ホルモンの値を調べることをオススメします。
その結果、甲状腺機能低下が認められれば、不妊症の原因になることも
考えられます。
これは、甲状腺ホルモンが女性の妊娠に深く関わるホルモンだからです。
機能低下がある人は、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなりますが、
すると卵胞の成長に影響し、排卵が起こりづらくなります。
また排卵が起きても、甲状腺ホルモンが少ない状態で出来た卵胞のため、
十分に成長しておらず、妊娠の継続が難しくなることがあります。そして私達の体は、
甲状腺ホルモンが減ると、分泌を促す指令が脳から出るようになっていますます。
この指令が出ると、TRHと言うホルモン数値が上がり、卵胞の成長を妨げたり
黄体の働きを下げるプ ロラクチンと言うホルモンも増えてしまいます。
これらのことが、甲状腺機能低下症による不妊につながるのです。
ただ、チラージンによる治療を開始し、甲状腺ホルモンの数値が安定すれば、
橋本病や甲状腺が原因で不妊が起きることはありません。妊娠を望む女性は
まず、甲状腺ホルモンの数値を安定させることに専念しましょう。
無事に妊娠した後も、ホルモンの数値は医師と共に注意深く診ていくことが
大切です。数値のコントロールが上手く言っていれば、甲状腺の疾患のない
健康な女性と、全く変わらない妊娠・出産ができます。