甲状腺の病気があると風邪薬は飲んではいけないの?
甲状腺の疾患をお持ちの方が風邪をひき、薬局で風邪薬を買って、
いざ飲もうと思ったら、「甲状腺機能障害をお持ちの方は、服用前に
医師・薬剤師にご相談下さい」と書いてあって・・・
結局風邪もひいていて、病院へ行くのも面倒で、風邪薬を飲まずに寝てしまった、
あなたもこんな経験はありませんか?
甲状腺の病気は、多くは甲状腺ホルモンの異常から起こることが多い ですが、
風邪薬が特に関係してくるのは、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の人です。
風邪薬には、血圧が上がる成分が含まれているものがあり、これはバセドウ病の
人によく起こる頻脈によくない影響を及ぼします。頻脈があるとそれだけで
心臓に負担がかかりますが、血圧が上がることで更にその負担が増すのです。
また、私たちの体は副交感神経が優位になることで、リラックスしたり心身の
休養が出来るようになっています。この働きを邪魔してしまう成分が、
風邪薬に入っていることがありますが、素人ではなかなかわかりません。
亢進症の人がこの成分を摂ると、しっかり休めなくてはいけない心臓が
十分に休むことが出来ず、やはり負担がかかってしまうのです。
また抗甲状腺薬のメルカゾールには、一見風邪のような喉の痛みや発熱を伴う
副作用が起こることがあります。これは無顆粒球症といい、白血球の数が減る
とても危険な副作用です。
白血球が著しく減ると、体を守る機能が低下し、肺炎や敗血症などの重い感染症に
一気にかかってしまうこともあります。特にメルカゾールを飲み始めたばかりの
時はリスクが高いようなので、風邪のような症状には注意が必要です。
風邪薬を飲んだから大丈夫、と思って放置していたら、実は無顆粒球症に
なっていた・・・なんてことがないように、甲状腺機能障害のある人が、
安易に風邪薬を飲まないようにするために、注意書きが書かれているのでしょう。
甲状腺の機能は、風邪をきっか けに変化することがありますので、何らかの
甲状腺の疾患を持っている人は、風邪でも市販の風邪薬は使わず、主治医や
内科医に相談したほうがいいと思います。