橋本病の治療
橋本病の治療は、単純明快と言う言葉がピッタリではないかなと思います。
よく比較される、真逆の症状が出る甲状腺機能亢進症の代表バセドウ病は、薬物療法や手術、アイソトープと言う放射線を使ったものなどいろいろな治療法の選択があります。
それに比べ、橋本病は炎症を起こし作られなくなってしまったホルモンを補うだけです。
これは、傷ついて炎症を起こした甲状腺そのものを治す治療法がないためです。
また、自分の甲状腺を攻撃してしまう自己抗体を取り除く治療法も、今のところありません。
ですから、橋本病は「慢性」甲状腺炎と呼ばれているんですね。
具体的には「チラージンS」というホルモン剤を服用します。
服用して橋本病の経過を診ながら自分に合ったホルモンの量を見つけ、体を正常な状態に近づけていく、これが唯一と言っても良い治療法です。
ただ、甲状腺の腫れが著しく、のどをふさいでしまっている状態のときは、手術が必要になることもあります。
ホルモン剤を飲むだけの治療法ですが、よく効きます。
ただ、自分にあった量を見つけるまでは時間かかかることが多いです。
はじめは手探りなので、主治医とよく相談しながら続けて、その量がきまってきます。
「足りないならまずはガンガン補えば、早く良くなるのでは?」という気もしますが、甲状腺ホルモンはそうなかなか単純にはいかないのです。
取りすぎると体全体のバランスが崩れ負担がかかることもあるので、ホルモン剤は極少量から始めて、徐々に増やしていく方法をとるのが普通です。
チラージンsの量の決め方や値段について
チラージンSには、25μg〜100μgなど様々な量のものがありますが、
- 体格
- 年齢
- 低下症になってからの期間
- どれくらい重い症状か
などによって、どれくらいの量から治療を始めるか変わってきます。
普通は25μg〜50μgくらいからはじまります。
チラージンsの料金は1〜2か月分でおよそ1,000円くらいです。
この他に、お薬の適量を知るための定期的な検査代も数千円かかります。
このホルモン剤は基本的にずっと飲み続けます。
チラージンs自体は高くないですが、長い年月を考えると検査台も含めてある程度の金額にはなってきますね。
チラージンsはどれくらいの期間飲むと楽になってくるの?
ホルモン剤の金額や検査費用も気になりますが、何よりどれくらい飲めばつらい症状が落ち着くのかも気になるところですよね。
チラージンsを始めたら、徐々に増やしておよそ2〜3ヶ月で、ホルモンの数値が正常になり、自分にあった量がわかってきます。
野菜ジュースや青汁など食物繊維の多いものは、甲状腺ホルモン剤の吸収を妨げます。
これらを飲んだときは、時間を空けてホルモン剤を飲むようにしましょう。
これらを朝飲むなら、ホルモン剤は夜寝る前に飲むといいですよ。
正常になったらその後数ヶ月は様子をみて、その時飲んでいた量が適量だと判断されることが多いです。
そして4ヶ月も経つ頃には、症状が落ち着いてきます。
この安定した状態を保つために、飲み忘れたり、調子が良いからといって勝手に飲むのをやめてしまったりすることのないように気をつけてくださいね。